23日のストリートライブの件をもう少し。 何日も経ってしまって既に記憶がかなりあやふやなのですが、美しいものを見た、という気持ちがずっと胸にたゆたい続けています。
かなり舞い上がって浮かれてネジが5、6本吹っ飛んだ内容になっているので、適当に読み飛ばしてください。 ていうか、アホみたいに長文で、かなりこっぱずかしい内容になっていて、妄想大爆発してるので、むしろ読まないでください(涙)
けっこうギリギリになってビジュアルボーイからのお知らせで綾野氏のライブの件を知り、そもそも中目黒ってどこ?な関西人なのであわててネットで乗り換え検索。バンド「Mr.A」のサイト(PC用(激重)、携帯用)にも繋いで情報収集。
夕方6時半開始で空劇2回目を見てからでも充分間に合うようだったので一安心。 途中神保町に寄って、縄文ホームドラマ漫画「ニタイとキナナ」(昔コムックトムプラスに掲載していた)と諸星さんの「スノウホワイト」を入手。そして綾野氏の映画「Life」の共演者・忍足氏との対談記事が載っている雑誌を2冊入手。次に綾野氏が普通に雑誌に載る機会は何時かわからないのでしっかりゲット。
6時には会場となる中目黒GTに到着したものの、親イベントとなる中目黒あかりまつりのサイトを見てもライブについては何も触れられておらず、詳しい場所などがさっぱり不明だったのですが、吹き抜けの中庭のような場所があったのでここかもと目星をつけ、とりあえず向かいのスタバでお茶しているとガラス越しに楽器を持った人影がちらちらしはじめました。凝視するのも恥ずかしいので、心落ち着けてお茶を済ませて、おもむろに外へ。 中庭の中で一際大きな木が1本あり、その回りが丸くブロック(?)で囲われているのですが、それが丁度大人が腰掛けるのによい高さで、そこに小さなアンプなどを置いてセッティングをしている若い人たちが見えました。 後ろを向いて、前屈みになっていても、綾野氏はすぐわかりました。細い、すっとした直線で描かれた背中から漂う雰囲気がテレビとまったく同じでした。 ああ、本物だ、生綾野氏だ、ともうこの時点でテンパリまくり。こんなに緊張したのはハリケン素面公演以来でしょうか。現実のこととも思えませんでした。
「あかりまつり」開催中ということで、中庭にはいくつも白木の動物型のキャンドルケースが置かれ、やわらかい光を灯していました。足元の敷石の中にもいくつかライトが混ざっていて蒼い光がゆっくりと明滅しています。大きな木も控えめにライトアップされていて、少し早い聖夜にふさわしい雰囲気になっていました。 そんな中、黙々と準備をする人たち。そしてそれをかなり遠巻きに静かに眺める人たちがちらりほらり。 私はどこか祈るような気持ちで綾野氏を見つめていました。3年前に少しの間だけテレビに出ていて(しかも衣装のせいでほとんど素顔は隠れたまま)そのあと写真と日記を拝むだけの日々がずっと続いて、最近になってやっと動く姿をまた見ることができた人を実際に目にすることができたということがすごく不思議で有り難くて……。ほぼ3年間、写真だけで思い描いていた姿そのまま、いえそれ以上に、えもいわれぬ繊細な空気をまとっている綾野氏。すっととがった鼻、鋭いあご、独特な目、薄い直線的な体。語彙が足りなくて色っぽいとしか表現できないのですが、セクシーともエロいとも違います。ゾクゾクするとしか言い様がない。後ろでくくっていた髪をほどいてバサリと首をひと降りする姿を見たとき、ふっと意識が飛んで頭のネジが数本消えました。綾野氏はその後マフラーを分厚く巻きかけて、ジャマになるのか外されました。白っぽいジャケットを着てました。 カフェのメニューを書くような小さな小さな黒板に「mr.aストリートライブ」と書いたささやかな看板が出され、「Life」のパネルが置かれ、チラシが配られ、いつの間にか時間となりました。 どれだけの距離を取って見たらいいものかわからなくて大分離れていたら、もっと前にと呼び寄せられ、そこそこの距離から拝むことと相成りました。この夜の編成はギター×2とベースの3人でしたがサイトで確認した限りは5人だったので、チラシ配ってたりいろいろ仕切っていたのは残りのメンバー(ドラムの方とか)だったのだと思います。
VBのレポートとか見る限りあまりMCが得意な人ではなさそうな方なのですが(一言も話さない回もあったらしい)、まあとりあえず最小限の挨拶は……(苦笑)。だいぶ脇からの助け船というかフォローが入っていましたが。次のライブを2月……と言いかけて、観客のほうから「1月、1月」と囁かれてるのには笑いました。 激しい曲だったらどうしようかな、とちょっと心配してたのですが、穏やかな曲が主体でした。全曲インストゥルメンタルで、綾野氏の歌声が聞けなかったのはちょっと残念ですが。ライブハウスではもう少し激しいロックもされる、ということでした。 きれいな響きの曲ばかりでした。海辺の波のような、ガラス張りのドーム越しに見る冬の青空のような、緑の森のざわめきのような、細い清流を生みだす小さな泉のような……。それらは灯りの揺れる木陰の風景にひどく似合っているのでありました。そしてそれらは私が勝手に綾野氏に思い描いていた雰囲気とも重なりました。 うつむいて、顔にかかる髪のせいでちらちらとしかのぞかない表情の一つ一つ、動きの一つ一つが、3年間きっとこんなだろうと夢想していたとおりで……。不思議でしようがありませんでした。 薄々そんな気はしていたのですが、綾野氏はトランス状態になりやすい人みたいで、ギターを弾きながらタテノリでも横揺れでもなく何かに溺れ込むように体を揺らしていました。目を伏せ、あるいは額に皺を寄せて、あまりにもたやすく「向こう側」に行っている綾野氏を見て、私は自分が澤田くんを好きになった訳を改めて知った気がしました。人と人ならざるものの境に揺らめく存在というものを、この人だからこそ表現していたのだと。異界へと誘われている彼をこの世界に繋ぎ止めているのは仲間なんだろうな、なんて思ったりもし。曲の合間にふっと「戻ってきている」笑顔も素敵でした。
ひとときの淡い夢のようなライブも終わり。 1分でも1秒でも長く綾野氏を見ていたくて立ち去りかねていると、撤収作業をしている綾野氏に声を掛ける人がパラパラとありました。便乗して二言ほどお話できました。関西から来たというと驚き喜んでくださいました。周囲のキャンドルが映り込んでいるためか、綾野氏の瞳は星のようにきらきらとしてとても綺麗でした。 だいぶ寒がっておられたので、お時間取らせて申し訳なかったなと思いつつ、まるで現実感を覚えないまま歩き始めました。
この後、保険証やら診察券・各種メンバーズカードなどごっそり入ったカードケースを落とし、新横浜でそのことに気付いて引き返し、帰りの新幹線にまんまと乗り遅れたというのは、まあ無事出てきたから笑い話。良いこと悪いこと両方無いとバランス取れません。
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