++たらたら日記++

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今さらソチ五輪とPさんの話

 生きてます。
 今年こそはもう少し書きたいとは嘘ばっかりで、また何か月も放置してしまいました。 やはり布団の中でも書ける(笑)ツイッターの手軽さには勝てないのか……。

 まあ、年が明けてこの半年近く、仕事以外はスケートに振り回されている日々でした。
 他には、酒や、綾野さんや、三国志(ていうか曹操)に自分のエネルギーを割り振っていた気がします。

 一つ一つ懇切丁寧に書き残すことはもう無理なので、印象に残った、どうしても書いておきたいことだけ書くとします。

 まず、避けては通れない、ソチオリンピックのこと。
 というか、パトリックのこと。

 頭では、パトリックも人間なんだから、オリンピックで失敗するかもしれないよね、とか、神演技券はTEBで使っちゃったのかも、とか自分の心理に保険をかけていたけれど、心の奥底では彼がオリンピックの金メダルを取るのだと信じていた。
 それ以外ありえないのだと。
 彼はあんなにも切望して、自分を変えて、取り組んできたのだから。

 でも。羽生くんも乱れた。
 パトリックも乱れた。
 二人とも、人間だった。

 乱れに乱れた演技が終わったとき、パトリックの表情はむしろホッとしたように思えた。

 パトリックが銀で終わったことが信じられなくて。
 パトリックは目を潤ませながらも観客に応え、勝者を讃えていた。
 銀……素晴らしい成績、だけれど。
 パトリックは金でなきゃ。
 世間はオリンピックの金メダリストの名前しか憶えないだろう。
 パトリックは失われたカナダでのフィギュアスケートへの関心を再び呼び起こすため、金を取らなければいけない、はずだった。
 スケーティングと高難度ジャンプの両輪で、バンクーバー後の男子フィギュア界の先頭を何年も駆け続け、技術の底上げを即してきたのは彼だったのに。
 金を取らなきゃ、特にフィギュアに関心のある層以外に彼は知られず、彼の業績が知られることもない。

 ……でも。
 パトリックが実質、男子フィギュアを引っ張ってきたこと、その事実は変わらない。
 消えはしない。
 少なくとも、私は知っている。
 トリノワールド直後、パトリックとカートが話しながらそぞろ歩いている動画で、カートが繰り返し"I'm proud of you."と繰り返す声が耳に響いてきた。
 自分の中にどうしようもなく思いが込み上げてきた。
 「愛しています」「あなたを誇りに思います」と繰り返しツイッターに書き込んだ。
 ただ、ただ、そう書かずにはいられなかった。

 その後、数日は泣き暮らした。
 言葉のあやではなく、スポーツ記事を読んだり、さまざまな画像を保存したりしながら、ポロポロと涙を流し、時には嗚咽した。
 (ありがたいことに、ダンナは妻の奇行を見て見ぬふりをしてくれた)
 メダルセレモニーでパトリックが一瞬見せる寂しそうな影に泣き、残りの日程を笑顔で過ごしている様子にさらに泣いた。
 とにかくパトリックのことが案じられてならなかった。
 カナダ念願の男子金を持ち帰ることができず、マスコミや関係者やファンからどのような扱いを受けるだろうか。
 スポンサーや後援団体がすっかり手を引いて、経済的に苦境に立たされるのではないか。
 そしてなにより、手の中につかみかけた金メダルを自分のミスで手放してしまったことで、パトリックがこの先何年も、何十年も、後悔に苦しみ続けるのではないか、と。
 実際、眠れぬ夜を過ごしたらしいことも伝わってきた。
 年齢的な事からして、次の五輪で金を狙うのは無理だろう。疲れ果てているであろうパトリックが、このまま競技から去る可能性も十分にあったが、正直それはあまり自分の中で問題ではなかった。もちろん現役で滑るのを見ていたい、引退したら寂しい、けど、彼の気持ちが何より第一だった。

 やがて、五輪は閉幕する。
 北米へ戻ったパトリックの様子も伝わってくる。
 マスコミからの批判はやはりあったようだが、カナダの人たちは思っていたよりずっとあたたかく彼を出迎えていたようだった。
 二つの銀メダルを首から下げ、晴れやかに笑うパトリックの写真が何枚も届いた。
 涙の淵に浸ってしまった自分より、さっさとパトリックは前に歩み始めていた。
 でも、折れてしまった心はなかなか戻らず、出場するかどうか半信半疑ながら入手した札幌のショーのチケットを支えに過ごす日々をしばらく過ごすことになる。

 さて。
 不思議なことに、五輪後、パトリックの人気が上昇したようだった。
 さんざん理不尽なバッシングを目の当たりにした身からすると、日本人選手に立ちはだかるヒール役から負けて降板したからじゃないかと捻くれた思いもつい湧いた。
 どんなに嫌われてもいいから勝ってほしかった、とも思った。
 それでも自分の視野に、パトリックを好きだ公言する人の姿が次々と入ってきた。
 五輪で彼を知り、試合直後やセレモニーでの紳士的な立派な態度に感銘を受けた人。
 あるいは前から知っていたけれど、彼が去るかもしれない(少なくとも世界選手権には出ない)寂しさに、今さらのように思いに気付いた人など。
 若干複雑ではあるけれども、魅力に気づいてくれたのなら、今ならまだショーであっても彼の滑りを生で見る機会があるのだから、その幸運を享受してほしい。
 パトリックの滑りは見るものを幸せにしてくれるのだから。
2014年05月14日(水) (フィギュアスケート)

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