他に書きたいことは山とあるけど、とりあえず今日見てきたので吐き出し。
内容と無関係なことでちょっと愚痴。 なんばパークスシネマの3D版見に行ったら、3D用眼鏡がレンタル一種類しかなかった。 いつも行ってるとこでは眼鏡にクリップで取り付ける用が売っていて、一度買えばマイ3D眼鏡にできるのに。 劇場が違えば3Dの方式も違う可能性があるからと置いてきたけど、ダメ元で持っていけばよかった。 眼鏡オン眼鏡って……ずれ落ちる。うまく引っかけても重い。 2時間手で眼鏡を支えるってどんな拷問。 途中からずっとホームアローン(あるいはムンクの叫び)体勢でした。 さて。
映像は素晴らしかった。 今はこんな表現もできるのかと驚いた。 あの画面を作り上げたスタッフに敬意を表したい。
そして……ある意味…… 非常に正統な009の系譜でした……(血涙)
以下ネタバレ。 超ネタバレ。 かつ猛毒注意報発令。 閲覧は自己責任でお願いします。
見終わって、リアルに声を絞り出した一言が「ピュンマの扱い酷え」 うん、それもまた正統な009だね。ひじょーに。 確かにピュンマの水中戦能力は使いづらいってのはわかるんだけど。 まさか能力お披露目無しだとは思わなかったよ。 思慮深いインテリゲンチャという側面も、ハインリヒに見せ場を奪われてしまって。自分は実も蓋もなく004ラバーだけど、それとこれとは話が別。 この映画で初めて009に触れる人はピュンマのことをどう受け止めるやら。 ……っていうか、この映画、対象は誰なの? あんまり有名なコンテンツだからって、見る側がすでにある程度基礎知識持ってるって前提なの? みんな名前呼びでコードナンバー出てこなかった気がするんだけど……。
ちなみに自分は攻殻機動隊をまったく知らないので、監督さんの傾向と対策がわからない。 というより、もう四半世紀以上アニメそのものに縁がない。
リアルな現代を舞台に009を落とし込むとこうなるのか……とずっと考えていた。 肌の上を走るそこはかとない居たたまれなさ。 侘びしさ、と言ってもいい。 それは作品に対する感情というより、今この2012年における物語世界全般に求められているらしきリアルさや緻密さ、複雑さと自分が慣れ親しんできた「まんが」との齟齬に自分が軋む音だった。 今は「嘘」をついてはいけない時代なんだろうか。 おおらかで優しくロマンに溢れた嘘を。
半世紀近くの年月を、その時代時代に合わせた形で生き抜いてきた009の今必要とされている姿がこれならしょうがない、と、半裸で媚態を見せるフランソワーズを見ながら「003はそんなふしだらな娘じゃない」という言葉を噛み砕いて飲み込んだ。
それでもこのリサイボーグが正統な009の系譜であるところは…… 天使編や神々との戦い編と同じく、やたら壮大で哲学的で神秘的な大風呂敷を広げたあげく、ばっさり尻切れラストだったってことですよ、コンチクショウ。 しかも何? クライマックスがまんま地下帝国ヨミ編って? ラストは超銀河伝説もまっさおってか? (口汚くてすみません) たしかに009は永遠に未完の物語に違いない。
(ていうか、ラストのあそこは因果地平なのか?)
もうこうなったら文句全部ぶちまけちゃう。 いろいろ生臭いんだよう。 ギルモア博士と張々湖が金銭絡みで対立とか。 ジェットは確かに生粋のヤンキーだけど、世界の盟主アメリカを気取るようなインテリじゃなくて頭の悪い(誉めてます)チンピラ(誉めてます)なのよお。 なによりも不満なのは!! 「悲しみ」が感じられなかったこと。 いや、これは自分の無い物ねだり。 作り手はちゃんと描いたというだろう。 けど、あの乾いた絵柄に自分は感じ取ることができなくて。 ウェットさって絵に宿る部分が大きい。 「悲しみ」が不適切なら「弱さ」でもいいんだ。 彼らは試作品。ごくささやかな能力しかもっていなくて、弱くて、いつでも苦戦して、それでもあがいていく。その姿を見つめる作り手の視線。
最後に。 なんで本編で9人全員が戦闘服で勢揃いする場面を描かなかったのよぉぉぉぉぉ!!! 雑誌にあんなでっかく1枚絵載せておいて。
あ、でもハインリヒは格好良かった(現金)。 光の加減でうっすらと存在を感じられる銀の瞳の描写がよろしうございました。
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