たまというバンドを知っていますか。 あなたの好きなバンドは何ですか。
「この映画は 今、誰も死んでいないし 今、再結成もしないし 今、何周年でもないバンド
かつて「たま」だった人たちが 今に至った経緯と 2009年7月から12月までの 活動の記録である」 ……映画冒頭より
京都シネマで「たまの映画」近日上映のチラシを見たのは去年の春だったろうか。 その後、しばらくいつ劇場HPを見ても「近日上映」のまま。 なのに夏休みの仕事がバタバタしているときに上映していたらしく、気がついたら終わっていた。 しょんぼりしていたら、まさかのDVD発売。誰が買うの?採算合うの?と思いつつ購入。
今、好きなミュージシャンは?と聞かれれば、ニコ動の歌い手を挙げるけれど、30歳くらいまでは「たま」と答えただろう。
といっても、そんなに熱心なファンなわけでもなかった。 見に行ける日程に見に行ける場所でライブをするなら足を運ぶ程度。 それでもライブに行った回数は十回じゃきかない。滝本さん(Gさん)のソロと合わせたら20回には達していると思う。 自分にとって「たま」はCDで聞くのではなく、ライブで見るものだった。
世紀が変わる頃、ゲームや特撮にハマり、サイトを立ち上げ、そちらにかかり切りになっているうちに、たまの情報はほとんど仕入れなくなってしまった。 ふと気付くと解散していた。 ああ、そうなんだ、とだけ思った。 少しは寂しかったけれど、柳ちゃん脱退の時ほどのショックはなかった。 それまでもソロ活動や異なるユニットでの音楽活動はよく行われていたし、「たま」という形が伸びたり縮んだりしているうちに、とうとう輪郭がほどけてしまったんだろうと感じた。 またメンバーがふらっと楽器を手に集まれば、いつでもそこに「たま」はあらわれるんだろう、とも思った。
それから何年かして。 最近、仕事の都合で実家に帰ることの多くなったダンナは、かつてのオーディオマニアの血がまた騒いできたようで、ほどほどのお値段でいろいろ導入している。 その組みつつあるオーディオセットで近頃よく聞くのが「たま」なのだという。 パーカッションの小気味よさがいいらしい。
というようなわけで、祝日、SOIを見た帰りにダンナの実家によって、二人でDVDを見た。 プロジェクターでスクリーンに映すので人物がほぼ等身大(笑)
映画は、石川さん、知久さん、滝本さん(Gさん)のそれぞれの音楽活動と個別のインタビューを折り重ねていく。 バラバラのインタビューのはずなのに、ときおり内容がシンクロするのがなんともいえなかった。 石川さんはまったく変わらない。 知久さんは髪と歯がえらく寂しいことになっていて、最初ぎょっとした。おじいさんみたいだ。 GさんはGさんのまま、おじいさんになっていた。
どのライブも演奏者と聴衆の距離がほとんどない。 30人も入れば一杯になってしまうようなライブハウス、自分は何度か経験があるけれど、ダンナはそこそこ大きなハコにしか行っていない(それも全部私が付き合わせた)。 知っている曲も知らない曲もあり。 石川さんのハチャメチャなようでいてジャズのセッションのようなライブ感に溢れたパフォーマンス。 知久さんの子どものような郷愁と切なさを含んだ歌声。 滝本さんの相変わらず声量なくて音程あやしいくせにメロディラインは素晴らしすぎる曲。 織り込まれるインタビューの中で、それぞれが各々の言葉で、できるだけやりたいことをやりたいようにだけやっていきたいということ、今も音楽を続けて生活していけることのありがたさを語っていた。 ライブの映像からは音楽活動を行うことの喜びがたぷたぷと伝わってきた。
ラストに、知久さんの歌が流れる。 変な歌を歌う、ボクはここにいるよ。 変な歌を聴いている、ワタシはここにいるよ。
涙が出て困った。
特典映像では映画に入っていなかったライブ映像や、劇場舞台挨拶などが収められていた。 どの劇場も観客が一杯なのに驚いた。若い人も結構多い。 どこで「たま」を知ったのだろう。 皆、トークのぐだぐださが昔と変わらず(笑)
柳ちゃんも元気だといいな。
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