詳しくは帰宅後。 とりあえず一言。 芥川に謝れ。
【追記】
いきなりキツい物言いになってしまったけれど、映画の内容自体は悪いものではなかったと思うのです。 かといって、楽しめたかというと、微妙に首を縦に振りづらい……。 思うに、自分はこの映画に対して良き観客ではなかった。
第一に。 原作&黒沢版に囚われすぎていた。 何も知らずにいれば、もっと素直に作品に接することができただろうに。 なにせこの映画は原作を踏み台にしかしていないのだから。 三者三様の真実が並び立っていた原作とは異なり、一つの真実を選び取って、後はザクザクと話進めて。 宣伝見たときはもう少し混沌とさせるかと思ったんだけど。
第二に。 自分は日本史について知識がなさ過ぎた。 芥川原作だから平安時代だと思いこんでいて、「御所様」という言葉が出てきたから、あれ?鎌倉?と思い直して、中盤当たりでなおかつ時代が下がってるらしいことに気付いて、終始混乱してしまっていた。 自分が日本史に詳しければ、最初に畠山という姓が出てきた時点でおおよそのことが掴めただろうに。 少なくとも山名宗全という言葉を聞いたときに応仁の乱が思いつかなかったあたり、不勉強としか言いようがない。もう一度中学校の教科書あたりから読み直す必要が大ありだ。
第三に。 自分はこの映画が、なんちゃって時代劇だということにさっさと気付くべきだったのだ。 そもそもメインキャストと主なターゲット層と英文字なタイトル見ればそれくらいのこと一目瞭然のはずだったのに。それ相応の心づもりをしておけば、もっと気軽に見られたものを。 うっかり歴史物を見るつもりで臨んでしまったものだから、ちょっとした台詞回しの一々に違和感を感じてイライラしてしまった。 なんか脇がどえらく豪華だったからなあ。大御所揃いについ本格ものかと騙されてしまったよ。特に所司代格好良すぎる。ぞくぞくしたわ。
他の人たちの感想とかあらかじめ読んでると、ほぼ口を揃えて「もったいない映画」と書いていたけれど、ほんとになんかこう色々惜しい作品だった。
以下ネタバレ。
阿古姫役の人は良かったなあ。 昔風の扮装がすごくよく似合っていた。 山の中で直光をなじるところの表情と声の強さにうっとりだ。 彼女がきちんと昔の時代の女してるから、余計に騙されたんだなよあ。あとのメインキャストは現代風すぎるけど。
で、主役の直光のお間抜けっぷりというか頭空っぽ具合が……(私の主観なので異論は認める) 阿古姫に「あの男を殺して」と言われたときのぽかんと口を開けた表情の間抜けさは、、演じてる小栗くんが気の毒になった。 山中での阿古姫の糾弾や、お白州での将軍の叱責に、いちいちもっともだとうなずいてしまったよ。
人の良いぼんぼん育ちは分かるけど、地位も名誉も金もなけりゃ、女一人どころか猫の子一匹だって守れやしないんだぜ。逃避行の際に、せめて落ち延びる先に頼る当てがあるとかいう台詞が一つあれば、いきばた無計画っぷりももう少しまともに見えただろうに。 現代なら人畜無害なお人好しでいいんだけど、武家のおえらいさんが、しかも混乱期においてそれでは、存在自体が悲しいかな罪だろう。
中盤以降の盗賊一味との関わりもね、それぞれの存在がお互いに影響を与えるところまでいっているようには見えなかったなあ。 盗賊たちがお頭と慕うほどそれらしいことしてたようでもないし。直光もただちょっと物珍しがっていただけっぽいし。 でも盗賊家業時代をあれ以上描くと、なんちゃって度合いが上がりすぎるか……。盗賊ラップは恥ずかしかったです。
ていうか、そもそも、この映画、描くべき所を描いてなくて、不要な描写が多かったりする。 時代背景が分かるのが終盤にさしかかったころってどういうこと。 個人的には殺陣はあんなにいらない。 特に、逃避行中の桜丸がお供を切る場面は、あんなにべったり描写する必要はなかった。世話になった老臣を切った後は、他のものにも刀を向けるところでカットして、後は死体が転がっている所を見せればいいじゃないか。それともあれか、最近は行間を読むことが出来ない若者が増えてるから、切って血まみれになるところまで描いてあげないと意味分からないだろうという親切心だろうか。
あと、地獄谷くだりの段は必要だったのかなあ。桜丸に対して収斂されていた怒りの感情がすかされてしまって、クライマックスが持ち越されて間延びした感じになった気がする。
えーっと、あと何か書き忘れていることは……。 そうそう、桜丸、甲冑似合わないね。
あ、わたくしの鑑賞動機である綾野氏ですが、綾野氏というか、仮面ライダー軍団(龍騎&スパイダーオルフェノク&たどこーさん)であるところの盗賊団は皆可愛らしかったですが、あっけなかったです。
浪切の剣にジャラジャラ飾りが付いてるのを見て、女子高生の携帯ストラップみたいだと思ってたら、物品販売の所にまんま同デザインのストラップ置いていて笑った。
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