このあいだの土曜日、5日に祝日出勤の振替休日を取り、京都へ出かけた。 まず映画「縞模様のパジャマの少年」を見に行ったのは当日携帯から書き込んだとおり。 打ちのめされて、映画館前のベンチにへたれ込み、半時間以上立てなかった。 同じビルのカフェに入って母に電話した。 普段、所謂「おひとりさま」で何も不便も感じないのだが、このときばかりは誰かと語り合いたいと思い、映画好きの母の顔が浮かんだのだった。 母は件の映画は未見だったが、一応何かテレビで取り上げられていたのは見たようで、自分だったらこういうラストにするかな、と語ってくれた。
電話してちょっと気が落ち着いたところに、サイレンとともに「地下1階で火事です。すぐ避難してください」という放送が。 ……こういうときって、みんな慌てて駆け出したりしないんだね。 カフェのお客たち、みんな不思議そうな顔をして視線を左右に向けつつも、座ったまま食事を続けてた。かく言う私も頼んだ品がまだ来ていないから様子伺い。 まあ、誤報だったんだけどさ。 テーブルひとつひとつに謝って回り、レジのときも謝ってた店員さんが気の毒。
同じビルのエントランスで、夕方から伏見の日本酒フェアをやるというポスターを見て、よし夕方また来ようと決め、それまでの時間の使い方に悩む。 普段なら四条通を河原町方面に進み、新京極あたりをうろうろするのだけれど、なんとなくそんな気分になれなくて、とりあえず烏丸通を北上。 途中本屋を冷やかしたりしつつ、三条近くまで来て、同僚が先日京都文化博物館で藤城清治展を見たという話を思い出し、東に折れると、幸いまだ開催していた。 藤城清治とは色鮮やかな影絵で有名な人。名前でピンとこなくても作品を見たことがある人は多いはず。メルヘンというかファンタジックというか、そんな作風。
京都文化博物館って何度も前を通ったことはあるけど、中に入ったの初めて。煉瓦造りのそれは麗しい建物です。 3・4階と2フロア使って非常に多くの作品が展示されていました。正直見終わったときには足ががくがく。 影絵なので、裏から光を当てて展示が基本。作品によっては前に水を張り、左右に鏡を置いて、影絵と水面に映る影が合わせ鏡で永遠に左右に広がって見えました。 材料とか技法とか費やしたであろう時間と労力とか、そういったことは考えないようにして、ただただ幼い頃の自分に戻って眺めていました。自覚はないけれど、たぶん幼い私はたくさんこの愛らしい異世界を見て暮らしていたに違いなく、影響を知らずに受けていたらしいと気付きました。自分の(モチーフとしての)馬や観覧車・回転木馬好きとか、たぶんすり込まれてる。美意識の基本に。ただただ懐かしかった。 でも「ケロヨン」もこの人だったとは。いや、記憶はさっぱりないんだけど、以前からカエルの人形を見ると何故か頭の中で「ケッロヨ〜〜ン!」というフレーズが響き渡っていったい何だろうと思ってたんだけど、そういう番組があったのね。
2時間ほどかけて見終わって、ふたたび四条烏丸へ。 特設の日本酒バーはすでに開店していました。 帰宅してから携帯を買い換えに行くつもりだったので、auショップの閉店時間を考えるとあまりゆっくりできず。 急ピッチで飲んだのがちょっと残念。次はゆっくり行きたい。 ちなみに飲んだ酒。 利き酒っつって御猪口に入れたもの。京乃寒梅 星の流れ 鷹取大吟醸 普通の90ml 月の桂 純米吟醸酒柳 桃の滴 純米吟醸 利き酒で適当に手にして甘→酸→辛という順番に当たった自分を褒めたい。 個人的には月の桂が好きかな。
さすがに微妙に足元ゆらしつつ帰宅。
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