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とある綾野剛ファンの思い出語り その6

 映画「Life」

 春まだ浅い2007年3月下旬。
 残念ながら舞台挨拶の日はどうしても仕事が休めず。
 後日見に行ったとき、館内の壁にみっしり書かれた映画関係者サインの中に綾野氏のものもあることを確認。

 30人も入れば一杯になる小さなスクリーンで、たった3人でLifeを見ました。

 帰りの電車で、喧噪に我に返るまで、映画の世界に浸っていました。

 Lifeの内容を伝えるのは難しい……
 さしたるストーリーがあるわけでもなく、盛り上がりがあるだけでもなく、人によっては確実にひどく退屈なつまらない映画でしょう。
 主人公は地方の芸術村に住む若いキャンドルアーチスト。
 彼自ら何か行動を起こすことはなく、彼はいつも誰かの横にただ寄り添う。
 暗闇にキンと響くジッポの音、ポッと点されていくロウソクの灯り。
 雨上がりの田園地帯の澄んだ空気とそれを振るわせるギターの音(綾野氏自身による)
 鈍色の空の下、冷たい海の波音と、激しい息づかい。
 闇と光と、静けさと音。
 映画館の闇に身を沈めて、それらを享受する幸せ。
 どんな映画だったかと人に伝えることは難しい。ただ自分にとっては、心の琴線にそっと触れてくる映画でした。

 その映画の主演が、綾野さんであったことが嬉しい。
2012年01月25日(水) (役者さん)

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