DOI第2部の話を始める前に、今回のご近所さんの話を。 昼の部では、通路の横に座ったので左隣は無人。右隣は応援が手慣れた感じのお嬢さんで、OPでの反応から大輔さんファンの模様。 ザンボタイムに向こうから「パトリックのファンですか?」と声をかけられました。ショー開始前しばらく自分の膝にカナダ国旗出しっぱなしにしていたもので……。なんだか妙に恥ずかしくて、蚊の鳴くような声で「はい」と頷きました。 その後も色々話しかけてきてくださって、自分がまだスケートファン歴が浅いと告げると、「3Mってわかりますか?」とか「振り付け師の宮本賢二さんってご存じですか?」と、とても丁寧に、気を遣ってくださいました。 その方の見立てでは、町田くんのプロは「肩甲骨の使い方」からしてミヤケンの振り付けではないか、と。 大輔さんのタンゴが見たくて、地元の神社で願掛けをされてきたそうです。とても喜ばれてました。 もひとつ右隣の方も合わせて、3人でプロの間にあれこれ話しながら見て、とても楽しかったです。
夜の部のお隣は、「ショーで拍手をすると注意された」という頃からのファンという奥様でした。席がちょうど関係者席の真上だったので、詩子コーチや城田さんを指し示して教えてくださいました。 最近は真央さんファンだけれど、男子も好きだし、ペアやアイスダンスを(Jスポで)見るのもとても楽しみとのこと。 誰のファンかと聞かれてパトリックと答えると、「彼、すごく良い子ね!」と。一緒に写真を撮られたのだそうです(たぶん国別で)。とても礼儀正しくて感じが良かったのだとか。う、羨ましい。 ザンボタイムの時に娘さんと話をされて、「パトリックファンと会ったと言ったら『パトリックのどこが良いのか』と聞かれた」そうで。 こうやって文字に起こすとなんだかキツい感じになってしまいますが、少なくとも奥様は純粋に好奇心から聞いてこられているようで、「やっぱり滑り?」と。 堕ちたのはモスクワワールドの幅跳び四回転で、あとはEXの時の表情が可愛いからだ、と答えたら納得されたようです。 ここでもファン歴が浅いと言うと、色々教えてくださいました。
よく観戦や観覧で周囲の観客に嫌な思いとしたという話を聞きますが、幸いにして自分はまだそういう経験が無く、むしろありがたい体験のほうが多いです。
さて、DOI第2部。 まずは武田奈也さん。スケート引退のショーだったそうです。 お名前と写真は見たことありますが、滑りを見るのは初めて。 昼の部はフラメンコっぽいプロ。競技現役の皆さんとくらべるとやはり少し体のキレが足りないような気が。 夜の部は華やかな色合いの可愛らしい衣装で、ラブリーなプロ。こちらのほうが雰囲気に似合っていたように思います。キラキラしていました。 休憩時間内に席に戻れなかった人たちがパラパラと演技中に移動していてざわついた雰囲気だったのが気の毒でした。
小塚くん。 ソウルマンメドレーのボーカル版。歌が入ると全然曲の雰囲気が変わるし、衣装も黒ベストでシュッとしていました。 サングラスの受け渡しは昼が宮原さん、夜が佐藤さんでした。どっちもすんなりとはいかず(笑) 演技終了後、昼はサングラスを頭に乗せて頭を下げてはカシャンと落とし、頭を下げては落とし。ワザと? 夜はサングラスを蹴り続け、出入り口にシュート。サッカーというよりはホッケーっぽい。
佳菜子さん。 楽しげに元気いっぱい弾けるプロ。昨シーズンは大人っぽいしっとりプロが多くて、最後には滑りこなしていましたけど、やっぱりこういうプロが似合うなあとしみじみしました。見ているこっちまで元気になります。
高橋&トラン組。 ねっとりとした弦の響きが大人っぽいプロ。競技用だそうです。ちょっとミスがポロポロとありましたが、仕上がりが楽しみ。昼の部で、なるみちゃんがキメポーズに失敗したのか、マービン君の脚をよじのぼるような格好に(笑)
安藤さん。 タイスの瞑想曲……って有名な曲らしいですね。(無知さらけ出しですみません) 静かな美しい旋律に乗せて、なんともいえない存在感。衣装も相まって女神様のようでした。夜はプロが変わって、曲は知らないのですが勝手に白アンと呼ばせてもらってるもの。どちらも素敵でしたが、ジャンプの構成など、あくまでもEX用といった感じで、競技用のプロを見せてくれるのでは、というひそかな期待は適いませんでした。
羽生くん。 ……何と言ったらいいのか(笑) 昼の部では、転けまくっていました(汗)ベチャーッという擬態語がくっついてくるようなすっこけ方。カナダではまだ素早い立ち上がり方を学ぶところまでは行っていないらしい(汗)小道具や衣装の一部(?)をリンクにバラまきまくり。引っかけるんじゃないかとハラハラしました。 終了後三方土下座。トボトボと帰りつつ、ヤケのようにしてTシャツを放っていました。正直この時点では何がしたかったのかよくわからず。前日も見たという人がシャツに口紅でハートを描いて客席に投げていたと教えてくれました。 夜、衣装をよく見ると確かに腰の所にホルダーが。 ジャンプもすべて決め、ドヤ顔でシャツにハートを描き、歓声溢れる客席に投げ込んで、リベンジ完遂。意気揚々と腕を突き上げ帰って行く様子を見ながら、(……でも、テレビで放送されるのは、昼の転けまくりバージョンなんだよ)と思うと笑いがこみ上げてきてしょうがありませんでした。
コストナーさん。 シーッというゼスチャが可愛らしい。 パッと動き出すときの笑顔がものすごく輝いていて眩しくて可愛らしくて、ほ、惚れる、これは女でも惚れる……とくらくらしました。 いやあ、生で見るともんのすっごく素敵! 長すぎるおみ脚によるスパイラルが迫力過ぎて、うわぁーとか口走るレベル。 昼は女性らしくて可愛らしいスカート衣装。夜は昨シーズンFS衣装でした。全体に散りばめられたストーンに照明が当たってゴージャスに輝いて、競技中とはまるで別物のよう。キラキラとそれは美しかったです。
パトリック。 えー……。長くてポエムでキモイ感想になりそうなので、後回しにします。
鈴木さん。 衣装の腰のおリボンが可愛くて素敵。ドラマチックな映画音楽を情感たっぷりに滑っていて、本当に人の心を振るわせる演技をする人だなあ、と。ラストにリンクの端からバーッと駆け出すところでは背中にぞくっと走るものがありました。……寒いのかしら、とか思ったりもしたけど(苦笑)、二回目見ても、やっぱり背中がゾクゾクッとしました。
大輔さん。 タンゴふたたび。 振り付けの内容がまったく違うと言えばそれまでなんですが、10-11シーズンのFSで受けた印象とはまるで別物でした。自分の目が2年で変わったのかもしれない。大輔さんが進化したのかもしれない。 女性を抱くような仕草を見せながら、濃密な、情熱的な空気でその場を満たしてしまう。 大輔さんについては、芳醇な言葉で語る人たちが他にいらっしゃるので、自分はただ、すごいなあ、とだけ。
フィナーレで、パトリックが先頭位置にいたのが何だか嬉しくて。 同じスピンでも最初からトップスピードの人や徐々にスピード上げていく人など色々なんだなあとか思いました。
さて。 語りがキモくなること必須なので、隔離したパトリックのプロです。 正直、事前には、あの美しい悲歌を見られたらいいなあ、と思っていましたが、金曜組から新プロ(シャツがださい)との情報。 残念さと新プロが見られる嬉しさとでちょっと複雑な気持ちで会場へ。 今までパトリックの滑りを生で見て、靴にロケットブースターくっつけているのかと思うほどの謎のスピードが印象的だったのですが、今回はスピードを封印? ゆるやかな曲に合わせてゆったりと滑っていました。 氷の上にいるとは思えないほど、自由自在に……重力からさえも解き放たれているかのように自由に、音楽にその身を委ねていました。 ささやくような歌声に乗って、やわらかく、やさしく。 けれど、その動きは確かにスケートでしかできないもので。 あんなゆったりとした動きをするために、どれだけ強い体幹が必要なんだろう。 自らが音そのものになって風の中で舞っているようなパトリックを見ながら、私は国旗の端を握りしめたまま、旗を揺することも、拍手をすることも、声を上げることも出来ず、ただただ息を飲んで見つめるしかできませんでした。ひたすら固まっていました。 すごい!と盛り上がるとか、感動するとかじゃなくて、なんだか呆然としてしまっていて、終わった後に座ったままで済ませてしまいそうに。いえ、ちゃんとスタオベしましたが。夜の部は隣の奥様も旗の片方を持って付き合ってくださいましたし。でも自分の中で勢いが出なくてちょっと恥ずかしかった。 むしろ、見終わった後で、あの柔らかい光差す光景を思い出しては、じわりじわりと幸福感が湧いてきます。 パトリックのショープログラムを生で見ることは、とても幸せな気持ちになります。(競技プロは心配が先に立って、そういう心境にはなれませんが) 願わくば、一人でも多くの人が、同じように幸せを感じてくれますように。
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