神戸の元町映画館で開催中の「スクリーンで綾野剛さんに会おう」キャンペーンに惹かれたわけではありませんが……(笑) キャンペーンの抽選に応募するためには先週上映していた「孤独な惑星」にも行かなきゃならなかったけど、先週は遠出無理でしたの。 綾野さんの出番少ないと聞いて迷っていたんだけど、主演が池脇千鶴さんと知って急に行く気に。
思い立ったのが昨夜、さんざん夜更かししてもう寝ようかというときだったので、寝不足で神戸へ。午前1回しか上映がなかったのです。 アーケード街のど真ん中にある映画館は狭いけれど思ったより明るくて綺麗。(今までいろいろ凄味のあるミニシアターばっか行っていたから) ギリギリで場内暗くなってから滑り込んだので、よくはわからないのですが、なんとなく「この映画を見に来た」というよりは「馴染みの居心地良い映画館でいつものように時間つぶしに来た」おじさま方がちらほら混じっている雰囲気が。 まもなく高イビキが聞こえてきたので、ああやっぱりここは地元の人にとってそういう場所なのね、と了解して、気にせず見てました。 途中、あんまりイビキが大きくなったので、隣に座っていたカップルがクスクス笑ってましたが(笑)
映画は面白かったです。 出演俳優も名前知った人が多くて、変な言い方だけど、あまり単館系臭がしなかった。 内容けっこうベタなんだけど、このところ見る側に緊張を強いられる映画を見ることが多かったので、気楽に見られて良かったです。
東京都中野区中央線沿線の理容美容専門学校を舞台に教師と生徒たちを描いた群像劇。 思ったのは教師たちが皆、熱心に、生徒たちに対して親身になって向かい合っていること。つまずいている生徒、ドロップアウトしそうになっている生徒一人一人に対して、対策を話し合い、手を尽くそうとしている。飲みの場面でも仕事の話ばかり(笑)
熱血若手教師・久沙江先生に池脇千鶴さん。相変わらずおぼこいから、生徒の中に溶け込んでしまってる。 カット技術でつまずいて、目標を見失いかけてる弥生ちゃんは、「春との旅」のあのもっさい子だったのね!?全然気付かなかったわ。やっぱり髪型と化粧と服で女って変わる。 家庭事情のせいで他人とうまく接することのできない洋平くん、見たことあると思ってたらケータイ捜査官の子だった。育ったなあ。繊細な表情がなんともいえません。 ちょっとぽっちゃりなビジュアルも家庭事情もものともせず、誰よりもがんばるいちこちゃんはお笑いの人らしい。いい味出してた。カットの成績が一番で先生にもっと喜んで良いんだぞと言われて、無表情で「喜んでますがなにか」と返した場面は場内の笑いを誘ってました。 それぞれの登場人物にいろいろな浮き沈みがあるわけで、けっこう何度も泣きそうになりました。決して「さあ泣け今泣けここで泣け」的な押しつけがましさは無かったんだけどね。 人は落ちたときよりも、少し浮上したときに泣くような気がする。
綾野さんは弥生ちゃんの彼氏役。芸術家肌のデザイナー。はじめ弥生ちゃんを見守る大人の男……と見せかけて、クライアントや事務所からの要望と自分の理想との落差に悩み、壊れていくダメ男。よくもこんな役を綾野さんに当てたなあ、と。
しかし理容美容学校って色々なことするのね。カットやシャンプーの実技だけじゃなくて、座学や着付けの練習まで。
今さら、か。今だからこそ、か。「一所懸命」な若者たちの映画。
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