昼から京都駅ビルまで絵本原画展見に行ってきた。今回はいろいろな作家の作品が集まっていた。 入ってすぐのところにバージニア・リー・バートンの「ちいさいおうち」の原画が飾られていた。60年も前に描かれた、世界中の子どもたちに愛されている作品が、水彩の柔らかい色合いをそのままに自分の目の前に存在していることに震えが来た。お話としてはね、子どもの頃読んだときに、また周りが都会になってしまったらどうするんだろう、と納得できなかった記憶があるんだけど(苦笑) やはり60年ほど前に描かれた、マリー・ホール・エッツの「わたしとあそんで」の原画が、鉛筆で描かれていて、最後の場面、女の子の満面の笑みが、横に置かれている印刷された絵本の中ではほとんど細かいタッチが飛んでしまっていることに愕然とした。これは生で見なきゃ一生気付かないことだよ。今の印刷技術なら鉛筆の微妙な陰影も写し出せるんだろうけどね。 あとはアンジェラ・バレットの絵をいくら間近で見ても筆の跡が見分けられなくて度肝抜かれたり。この人の作品あまり知らないけど、飾られていた「真夏の夜の夢」はすばらしい美しさだった。原画自体小さいのに、あまりの繊細さに眩暈がしそう。 小さな子どもに大人気なメイシーちゃんシリーズのルーシー・カズンズの絵は実にのびのびと塗られていた。 最近挿絵などでとみに人気の酒井駒子は、印刷でも薄々気付いていたけれど実際間近で見るとどんな明るい色彩の絵でも下地が真っ黒に塗られているということが改めてわかった。上に厚く重ねられている色のすき間からわずかに覗く黒が絵の奥行きを深くしている。 荒井良二はまずその発想どこから来てるのかという感じであります。 サラ・ファネッリの作品はコラージュなので、生で見ると色々貼られているのがよくわかります。よく見るとかなり怖いよブルブル。 大人にも人気の島田ゆかの作品は、よっくよく見ると細部が本当に凝ってる。明るい色彩がためらいなくきっちり塗り込まれているので、実際に描く前に作り込んでいるんでしょうね。 ガブリエル・バンサンは、描き込まれた「くまのアーネスト」の絵が美しいのは当然なんだけど、ほんのわずかな線で表現された「アンジュール」や「ヴァイオリニスト」の絵が見事に表情を持って迫ってくることに、絵のうまいっていうのはこういうことかと痛感。 出久根育(女性だったのね、この人……)の絵は一度見ると忘れられない。飾られていた「ペンキや」では、船から見える海があらゆる色をしていました……というテキスト書いた人間のかなりいいかげんというか無責任な一文に見事に応えていてすげ〜と思ったです。 他にもいろいろありましたが、名前を覚えていない作家さんの作品は省略(苦笑) 平日だったけど人多かったですね。若い男性で熱心に食い入るように見ている人がいてほーと思いました。 土産に酒井駒子のクリアファイルをひとつ。 他にはあまり出歩かず、とりたてて収穫もなく帰りましたとさ。
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